データ分析・活用の新天地を求めて

ブログ-データサイエンス

(連載 第3回)   作成 高橋周平

ーデータサイエンス、データ分析・活用ツールとしてSQL、R言語、Python、それを動かす環境としてのGoogle Colaboratory、外交史料館、「マッサン展」の記事ー

前回からの話

前回は、外交史料館で照会システムをACCESSで作る話でした。今回は、展示のアンケート調査をACCESSでシステム化する話です。

(1)アンケート調査のシステム化

私が現役時代最後に勤めた外交史料館は、外務省がある霞が関ではなく、ロシア大使館の斜め向かいの麻布台にありますが、外交史料が閲覧できる本館とは離れたところにある別館には外交文書の展示室がありました。外交史を専門に研究する学者や個人的趣味で歴史を研鑽する方にはよく利用されていますが、一般には余り知られていないこともあり、来館者は数えるほどしかありませんでしたが、来館者には印象や意見などのアンケート用紙に記載するようお願いしていました。

内容についても改善の余地があり、その改訂に合わせて、データベース化することを考えました。

それまでは、殆どが記述式だったのを、原則選択式にしてできるだけ答え易くするとともに、パソコンの端末から入力するとその時点でアンケートの内容が分析できるようにすることを試みました。大部分を選択式にしたので、最後に自由に記載できる欄をつくり、来場者の本音をできるだけ吸い上げる工夫もしました。

アンケートの分析に当たっては、性別や年代別のクロス分析をグラフ化することによってできるだけ見やすくするように努めました。

データベースは基本的にACCESSを使ったのですが、可視化の部分ではなかなか思うように進まず苦戦を強いられました。本省(外務省)のシステム部門に勤務するプロのサポートも受けながら進めました。それまで私は、データベースのACCESSを使えば可視化も含め何でもできると勝手に思っていたのですが、プロから見ると、可視化に限って言えば、ACCESSよりもエクセルの方が優れているいることも学びました。今から思うと、ACCESSによる可視化にこだわり結果的にプロの方に迷惑をかけることになってしまったことを申し訳なく思っています。

アンケートの改訂については、多くの職員から驚くほど多くの意見が寄せられました。もちろん、肯定的なものばかりではなく、アンケートの対象者はあまり多くなく、もともと外交史に関心のある方が多いので、従来の原則記述式の方がよいとか、改訂すること自体に余り積極的でない意見もありました。私には、外交史料館の立地条件や従来の運営などから見ると、もともと外交史に関心を持つ限られた方のニーズに応えていればそれでよしとする風潮があったように感じられました。

紆余曲折を経て、何とかアンケートのシステム化も完成にこぎつけることができましたが、これには後日談があります。

PCの端末で入力することを前提に考えていたのですが、厳しい財政状況のため、展示場に置くPCを調達することができなかったのです。このプロジェクトを知って、余分なPCを提供してもよいと申し出てくださった企業さまもありました。また、公共の組織が直接企業から寄付をもらうのは好ましくないとの観点から、別組織を介在させることも検討したのですが、総合的判断から好ましくないとの判断となり、最終的には実現しないまま終わりました。

(2)私の願い

アンケートに手書きで書くよりも、キーボードで入力する方が現代の若者にとっては歓迎されるのではないかと思い込んでいた私の目論見は見事失敗したのでした。その後のことは寡聞にして知りませんが、いまだに、アンケートは人力によって分析されているかもしれません。

そもそも私がアンケートのシステム化を思いついたのは、手書きのアンケートの内容が十分把握されず、それが外交史料館の運営の改善につながっていない現状を何とかしたいと思ったことがきっかけでした。

手書きの内容はできるだけエクセルに入力するようにしていたのですが、担当官によってもその扱いはまちまちで、中には判読不明のものや、入力されないままのものもあるのが実態でした。

私としては、手書きの内容をワープロで再入力する無駄や、再入力することによる誤入力のリスクを少しでも減らし、業務改善や効率化をしたい、そして、何よりも国民の声を反映するために最も貴重なものが有効活用されていない状況を少しでも良くしたいとの思いがありました。

それまで一般の方を対象とした利用拡大を余り考えていなかったことに対する反省の気持ちもありました。一般の企業にとっては、アンケート調査の内容は、その企業の死活を左右するほど大事なもので、特に否定的な内容や、クレームは迅速に対応すれば、企業に対するイメージを逆転させ、業績を拡大させる契機にもなります。

最近では、行政改革が叫ばれ、行官庁の弊害に愛する声を吸い上げる「目安箱」の設置なども実施されるようになっていますから、公務員といえども国民の声にはより敏感になることが求められています。

国民の目から見るとこれは当然とことですが、現実問題として、中央官庁では一部の窓口業務に従事している部署を除くと、国民の声がなかなか届きにくいのが現実かもしれません。外交史料館も、今は更により多くの国民の声に敏感になり、アンケート調査の内容についても、いろいろな面で活かされより多くの国民に親しまれる存在になっていることを祈ります。

(3)「マッサン展」の紹介

最後に、私が外交史料館時代に、一般の方への利用拡大につながることを期待して試みた、展示会を紹介させてください。NHKの朝ドラで日本のウィスキーの創始者ともいわれる竹鶴政孝をテーマにした「マッサン」が放映されたことに連動して「マッサン展」を行いました。その時に作ったパンフレット(展示解説)と展示を実現するにあたってのエピソードをまとめたエッセイがありますので、是非ご一読ください。

パンフレット(展示解説):https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000060126.pdf

エッセイ:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000069468.pdf

次回以降はいよいよ本論の、データ分析・活用の最適な環境構築についてお話します。

著者 プロフィール 


高橋周平 ITコーディネータ(2012年認定) 69歳。
2015年に、41年にわたる公務員生活を定年退職。その後2020年2月までは、海外販路開拓コンサル、監査役などの立場で主に中小企業を支援。並行して2016年から公官庁の研修機関でICTの基礎の副講師、2018年からはデータサイエンスの講師を務める。今後は第三の人生として、法律関係業務、データ分析・活用の分野で企業の支援を続けていきたい。

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